「一人医師だから…」はもう古い。往診を"最小負担"ではじめて、「健全経営」を手に入れる方法

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なぜ今、多忙な外来クリニックこそ「往診(在宅医療)」を検討すべきなのでしょうか?
院長先生、こんなお悩みや思いを抱えていませんか?
外来診療に追われる日々。目の前の患者様一人ひとりと向き合うことに全力を注ぎながらも、ふとクリニックの5年後、10年後の姿を思い描き、漠然とした不安を感じることはないでしょうか。
「地域医療に、もっと深く貢献したい」「高齢化が進む中で、通院できなくなる長年の患者様を最後まで診てあげたい」「外来診療だけに依存しない、新たな経営の柱を育てたい」
そんな思いを胸に、「在宅医療」という選択肢が頭をよぎります。しかし同時に、強力な"ブレーキ"がかかります。
「在宅医療は儲かるのだろうか?」「ただでさえ多忙なのに、これ以上自分の負担が増えるのは...」「24時間365日の対応なんて、自分一人では絶対に無理だ」
そのように考え、具体的な一歩を踏み出せずにいる院長は、決して少なくありません。
この記事は、まさにそのようなお悩みを持つ、多忙なクリニックの院長先生のために書かれたものです。本記事をお読みいただければ、院長のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を犠牲にすることなく、クリニックの新たな柱として在宅医療を無理なく、かつ収益性を確保しながら始めるための現実的なロードマップが手に入ります。これは根性論ではありません。仕組みと戦略によって、持続可能な在宅医療を実現するための、新しい時代の処方箋です。
高齢化という"不可逆な波"と、地域に根ざすクリニックの新たな使命
ご存知の通り、日本の高齢化は世界でも類を見ない速度で進行しています。団塊の世代が75歳以上となる2025年を迎え、医療の需要は「治す医療」から「支える医療」へと大きくシフトしています。
総務省統計局によれば、日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合は2025年には30%を超え、2040年には約35%に達すると推計されています。これは、国民の3人に1人が高齢者という社会の到来を意味します。
通院が困難な高齢者や、住み慣れた自宅での療養を望む患者は、今後爆発的に増加することが確実です。この"不可逆な社会的変化"の中で、地域に深く根ざしたかかりつけ医が果たすべき役割は、これまで以上に重要性を増しています。外来という「点で待つ医療」から、患者の生活の場へ踏み込む「線で支える医療」への転換は、もはや時代の要請なのです。
引用元:総務省統計局https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topi142_01.pdf
外来だけでは得られない「経営安定化」と「収益の柱」としての在宅医療
在宅医療への参入は、医師としての使命感だけでなく、クリニック経営の観点からも極めて合理的な選択です。
外来診療は、どうしても景気や地域の人口動態、競合クリニックの出現といった外部環境の影響を受けやすいです。しかし、在宅医療は、一度関係性を構築した患者様に対して、計画的かつ継続的な医療を提供するため、収益が安定しやすいビジネスモデルです。
長年通院してくれた患者様が、高齢や病状の悪化で通えなくなった場合、それはクリニックにとって「患者の喪失」を意味します。しかし、在宅医療という選択肢があれば、その患者様を生涯にわたってサポートし続けることが可能となり、結果としてクリニックの収益基盤を強化することにつながるのです。
かかりつけ医として、患者と家族に最後まで寄り添う価値
経営的なメリット以上に、在宅医療は医師としての根源的なやりがいをもたらします。
外来では見えなかった患者様の生活背景、価値観、家族との関係性を深く理解し、全人的なケアを提供できます。患者本人だけでなく、介護に悩むご家族からの感謝の言葉は、日々の診療の疲れを癒し、明日への活力を与えてくれるでしょう。
往診と訪問診療 – 制度の違いと収益の要となる診療報酬
在宅医療への理解を深めるため、まずは基本的な制度について整理しておきましょう。特に「往診」と「訪問診療」の違い、そして収益の要となる診療報酬の理解は不可欠です。
今さら聞けない「往診」と「訪問診療」の明確な違い
このふたつは混同されがちですが、制度上は明確に区別されています。
| 費用項目 | 費用の目安(円) | 備考 |
|---|---|---|
| タイミング | 計画的・定期的 | 突発的・緊急 |
| 対象患者 | 通院が困難で、定期的な医学管理が必要な患者 | 急な発熱や症状悪化など、緊急の対応が必要な患者 |
| 内容 | 事前に立てた診療計画に基づく、定期的な診察・治療・薬の処方など | 患者や家族からの要請を受け、その都度行う診察・治療 |
| 位置づけ | 在宅医療の中心となる継続的なケア | 訪問診療を補完する臨時のケア |
一般的に、クリニックが「在宅医療を始める」と言う場合、その中核となるのは訪問診療です。定期的な訪問診療を行う中で、患者様の急変時に対応するのが往診、という関係性だと理解すれば良いでしょう。
在宅医療を始めるために必要な「在宅療養支援診療所」の施設基準と届け出
訪問診療の診療報酬を算定するためには、原則として「在宅療養支援診療所(在支診)」の届け出を地方厚生局に行う必要があります。 在支診の施設基準の要点は「24時間対応」です。
具体的には、
1. 患者様からの連絡を24時間受けられる連絡体制を確保していること
2. 患者家族の求めに応じ、24時間往診が可能な体制を確保していること
3. 他の医療機関との連携により、緊急時の入院体制を確保していること
この「24時間対応」という要件こそが、多くの院長にとって参入の最大の壁となっています。
しかし、ご安心ください。後述しますが、この壁を乗り越えるための賢い解決策が存在します。
収益化の鍵を握る主要な診療報酬(在宅時医学総合管理料など)のポイント
在宅医療の収益の柱は、「在宅時医学総合管理料(在医総管)」または「施設入居時等医学総合管理料(施設総管)」です。
これは、外来のように出来高で一つ一つの診療行為を請求するのではなく、患者様一人に対して月ごとの包括的な管理料として算定されます。つまり、訪問診療の契約患者数が増えれば、毎月の収益が安定的に積み上がっていく構造になっています。
これにより、計画的なクリニック経営が可能となる点が、在宅医療の大きな経済的メリットです。
院長が在宅医療への参入を躊躇する「3つの壁」とその突破口
制度を理解した上で、院長が直面するであろう現実的な「3つの壁」と、それを打ち破るための具体的な戦略を見ていきましょう。
【壁1:収益性】「本当に儲かるのか?」に応える、超リアルな収益シミュレーション
最も気になるのが、やはり採算性でしょう。在宅医療クリニックの経営を検討する上で、「在宅療養支援診療所(在支診)」の申請は収益に大きな影響を与えます。ここでは、その違いをシミュレーションします。
シミュレーション結果の比較 月額収益(10名)
- 条件
登録患者数10名(同一建物居住者以外)の東京のクリニックで、月2回の訪問診療を実施
| 在支診の申請をした場合 (24時間対応体制あり) | 在支診の申請をしなかった場合 (24時間対応体制なし) |
|---|---|
| 在支診は、24時間365日体制で患者の急変に対応できる体制を評価されるため、在宅時医学総合管理料(在総管)の点数が高くなります。 | 在支診の届出をしていないクリニックも在宅医療は提供できますが、24時間対応体制が評価されないため、在総管の点数が低く設定されます。 |
| ・1人あたりの月額収益 訪問診療料(月2回):1,776点 在総管(月1回):5,500点 合計: 7,276点 ・患者10名での月額収益(概算) 7,276点 × 10名 = 72,760点(約727,600円) | ・1人あたりの月額収益 訪問診療料(月2回):1,776点 在総管(月1回):3,500点 合計: 5,276点 ・患者10名での月額収益(概算) 5,276点 × 10名 = 52,760点(約527,600円) |
差額:約200,000円
このシミュレーションから、在支診の申請の有無で、同じ数の患者を診ても月に約20万円の収益差が生じることがわかります。この差額は、24時間体制の維持に必要な人件費やシステム維持費などを賄う上で、大きなメリットとなります。
※上記は、2024年度診療報酬改定の内容に基づいた概算です。
※実際の診療報酬は、患者の病状に応じた加算(特定疾患療養管理料、在宅酸素療法指導管理料など)や、検査・処置料などが加わるため、点数は変動します。
※地域によって加算が設定されている場合がありますが、本シミュレーションでは基本的な点数のみで比較しています。
※最新の点数や要件は、必ず厚生労働省の公式資料をご確認ください。
【出典元】
※訪問診療と往診 在宅医療の診療報酬とは【2024年6月更新】(株式会社クレドメディカル)
※令和6年度診療報酬改定の概要 【在宅(在宅医療、訪問看護)】(厚生労働省保険局医療課)
※在宅療養支援診療所として申請せずに在宅医療を提供するのはアリ?(電子カルテCLIUS)
※在宅時医学総合管理料及び施設入居時医学総合管理料(FPサービス)
※在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の施設基準(地域医療情報システム(日本医師会))
【壁2:人的負担】「一人医師法人でも大丈夫?」– 週1日から始める"最小負担"スモールスタート術
「シミュレーションは分かったが、そもそも始めるための時間と人手が足りない」。その懸念も当然です。だからこそ、完璧を目指さない「スモールスタート」が重要になります。
【提唱】週1日・患者2人から始める"超"スモールスタート術
- 対象患者の選定
まずは、長年通院している患者様の中で、最近通院が難しくなってきた方や、そのご家族に「ご自宅での診療もできますよ」と声をかけることから始めます。新規の集患に奔走する必要はありません。 - 訪問日の固定
例えば「木曜の午後」を在宅医療の日と完全に固定します。これにより、外来診療のスケジュールを圧迫することなく、ご自身の頭の切り替えもスムーズになります。 - 既存リソースの活用
最初は看護師の同行も必須ではありません。医師一人で訪問し、電子カルテの入力はクリニックに戻ってから行うなど、既存のリソースを最大限に活用します。
この方法なら、新たなスタッフを雇用することなく、現在の診療体制を大きく変えることなく、在宅医療の第一歩を踏み出すことができます。「やってみて、できそうなら少しずつ拡大する」という柔軟な姿勢が、成功の鍵です。
【壁3:24時間対応】「自分の時間はなくなるのでは?」– 最大の懸念を払拭する"仕組み"
そして、最後の壁にして最大の壁が「24時間対応」です。深夜2時に鳴るかもしれない電話。休日に呼び出されるかもしれない緊急往診。そのプレッシャーを想像しただけで、参入を諦めてしまう院長は多いです。医師も人間であり、休息が必要なのは当然です。
かつては、この壁を乗り越えるには、医師個人の自己犠牲や根性、あるいは複数の常勤医を抱える体力のある医療法人だけの特権とされてきました。
しかし、時代は変わりました。この最大の懸念を、賢い「仕組み」で解決する方法が確立されているのです。
「24時間対応の呪縛」から院長を解放する、新しい在宅医療のカタチ
これからの時代の常識 – 「自院で全てを抱え込まない」という発想
結論から言いましょう。これからの在宅医療は、自院だけで全てを抱え込む必要はありません。むしろ、積極的に外部の専門サービスと「連携」し、役割分担をすることが成功の条件となります。
これは、税務を税理士に、法務を弁護士に任せるのと同じ、極めて合理的な経営判断です。院長は、院長にしかできない「日中の計画的な訪問診療」と「患者・家族との信頼関係構築」に集中し、それ以外の部分は外部のプロフェッショナルに任せます。これが、新しい時代の在宅医療のカタチです。
夜間・休日の緊急コールは「連携」して乗り越える – 機能強化型在支診という選択
在支診には、単独で24時間対応を行う「単独型」と、他の医療機関と連携して24時間対応を行う「連携型」があります。さらに、より質の高い在宅医療を提供するための「機能強化型在宅療養支援診療所」という区分もあり、こちらの方が診療報酬も高く設定されています。
重要なのは、制度上も、「連携」が推奨されている、という事実です。そして、この「連携」を極めてスムーズかつ高品質に実現してくれるサービスが存在します。
具体策:医師の負担を減らす「バディ往診」という賢いソリューション
その具体的な解決策が、「バディ往診」の夜間・休日対応の専門往診代行サービスです。
これは、在宅医療を行うクリニックに代わって、夜間・休日の患者様からの緊急コールに対応し、必要に応じて経験豊富な医師が電話診察や緊急往診を行ってくれるサービスです。
【バディ往診の活用イメージ】
1. 夜間・休日に患者様がクリニックに電話すると、コールが自動的に連携先のコールセンターに転送されます。
2. メディカルバディ(オンコール支援をする専門スタッフ)が状況をヒアリングし、待機している当直医に繋ぎます。
3. 当直医が電話で指示を出したり、必要であれば往診を行ったりします。
4. 翌朝、院長には対応内容が詳細にレポートで共有されます。
この仕組みにより、院長は夜間・休日の電話対応や出動のプレッシャーから完全に解放されます。まさに、医師の負担を大幅に削減し、「24時間対応の呪縛」を解く、画期的なソリューションなのです。
明日からできる!在宅医療導入に向けた具体的な5ステップ・アクションプラン
さあ、具体的な行動計画に落とし込みましょう。
- ステップ1
自院の理念とリソースの再確認 なぜ在宅医療をやりたいのか、改めて自問します。そして、「週に1日、午後だけ」など、割ける時間的リソースを具体的に洗い出します。 - ステップ2
スモールスタート計画と収益目標の具体化 前述の「スモールスタート術」を参考に、最初の対象患者を2〜3名リストアップし、月間の収益目標(例:10万円)を設定します。 - ステップ3
必須機材のリストアップと行政手続き 往診バッグ、血圧計、聴診器など最低限の機材を準備します。同時に、管轄の厚生局に在支診の届け出について相談を開始します。 - ステップ4
連携体制の構築(例:バディ往診への情報収集・相談) ここが最も重要です。「バディ往診」のような専門サービスに連絡を取り、自院のエリアでどのような連携が可能か、具体的なサービス内容や料金体系について情報収集を行います。 - ステップ5
地域連携室やケアマネジャーへの挨拶と集患活動 連携体制が整ったら、地域の病院の連携室や、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに「在宅医療を開始しました。夜間休日は〇〇と連携しているのでご安心ください」と挨拶回りを行います。質の高い連携体制は、強力なアピールポイントとなります。
院長の未来と、クリニック経営の新たな可能性を拓くために
本記事では、多忙な外来クリニックの院長が、 ご自身のQOLを犠牲にすることなく在宅医療を始めるための具体的なロードマップを提示しました。
- 在宅医療は、高齢化社会において必要不可欠な医療であり、安定した収益源となります。
- 「収益性」「人的負担」「24時間対応」という3つの壁は、乗り越えることができます。
- その鍵は、「スモールスタート」と「外部サービスとの賢い連携」です。
特に、最大の障壁であった24時間対応の負担は、「バディ往診」のような専門サービスを活用することで、 もはや過去の課題となりつつあります。
在宅医療への挑戦は、単なる増収策ではありません。それは、地域医療への深い貢献であり、医師としてのやりがいを再発見する旅であり、そして何より、院長ご自身の未来とクリニックの可能性を大きく拓く、戦略的な一歩なのです。
最初のステップは、巨大な投資や決断ではありません。まずは、小さな情報収集からです。
あなたのクリニックで、どのような「新しい在宅医療のカタチ」が実現可能なのか。まずは、その可能性を探ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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